雪で覆われた険しい森をたくさんの小人の人たちと進む
長い白髪の小人の王様は赤いとんがり帽をかぶって先頭を行く
小人の人たちはみんな鼻が高く尖っていて おじさん顔だった
蔓で出来た 今にもちぎれ落ちそうな吊り橋を渡ると巨木が立っていた
見た事ないけどたぶん屋久杉とかよりも大きくて
山みたいな岩みたいなその木の根元に向かって進み続けると
いつしか穴の中に入っていた
一見 巨木の根の穴のような暗いトンネルを王様は更に進む
途中からだんだんほのかに明るく炭坑のトンネルみたいに四角くなってきて
その先は木の内装が施されていた
壁の両側には額に入った小さな写真がポツリポツリと飾られて どれもとても古く色褪せている
奥に進む程 写真の額縁の数は増えたいき もう木の中に入った事なんて忘れていた
一番奥まで進むと行き止まり そこでやっと王様が止まった
雪の中を歩くよりトンネルの方がいいけれど 何の為にここまで歩いて来たんだろう
小人のみんなもわたしも静かになんだか不安だった
正面には木の根か蔓の絡まったもう長いこと閉まっているような木の扉
「これ開けるんスか?だいじょぶっスか?」と小人の一人が王様に聞く
小人の王様は小人の質問には答えずゆっくりとその扉を押し始めた 重たそうな扉がギィィと開く
開けちゃったよーとザワザワする
中はほんのり灯りがついていて外よりは明るいけれどやっぱり暗くてよく見えない
4段くらいの木の階段があり こわごわ登ると広いスペースになっていた
全体に布がかけられているので それが何でここが何なのか全く分からない
ここなに?
みんなそわそわしている 王様は黙って空間を観察している
右手奥に同じく布がかかった丘みたいな大きな物体があり それがかすかに動いた
キュッと空気が引き締まる
生き物?戦うの? 瞬時に思った事は皆同じだった
それでも小人の王様はフロアまで進んでしまう
すると、巨大な生き物らしき物体は突然かけられていた布を撥ね除けた
巨大な灰色の布が宙を舞った
ひょえー!一同の緊張とあれは何?という興奮がピークに達した
王様と側近だけは冷静にただそこへ立っている
やがてその巨大な生き物はむくっと起き上がりゆっくりとこちらを向いた
アッシュグリーンの肌をしたその巨大な生き物らしき物体は 巨人の人だった
恐怖で何人かの小人が騒ぎ入口辺りはパニック状態
そのうちの一人が「喰われるぞ」とわたしに耳打ちして逃げた
それでも王様と側近はフロアで平然としている
その王様の姿に気づき小人パニックはおさまるがみんな頭の上に?が浮かぶ
寝ぼけ眼で巨人はしばらく王様を見つめてから動き始めた
立ち上がった巨人はかなりの迫力で また一緒にいるのが小人なのでものすごいコントラストだった
巨人は寝ていた場所をサッと整え 室内の布を取り 灯りをつけ 準備ができると
王様の前に来て いらっしゃいと言う様にただにっこりと迎えてくれた
巨人が寝ていたのは大きな大きなキッチンカウンターで
布がかけられていたのは全てテーブルと椅子だった
明るくなった室内を見渡すと木製の内装も古びているがかわいくて
壁には写真の額がいくつもかけられていた
そう此処はなんとカフェだった
雪で凍えるみんなを暖めるために王様は無言でここを目指し辿り着き巨人を起こした
そして巨人はその姿がデカいが為に恐れられていたけれど、実は心優しい料理好きだった
もともと無口な王様だけど無言で進んだのは カフェがまだあるか不明だったからかもしれない
でもここへ来ればカフェが閉店していたとしてもトンネルだし寒さはまだ凌げる
王様ってさすがにすごいなと思った
小人たちとわたしはそれぞれすきなテーブルに着き あたたかいその巨人カフェで
すっかり気が緩んでニコニコしていた
あたたかくて甘いチャイや お酒をのんだ
巨人は言葉を発さないけれど やさしい顔をしていて
たくさんおいしい料理を作りどんどん出てきた
みんなたくさん食べてとにかくしあわせになった 踊っている小人もいた
わたしもたのしくて たくさん食べていたけど
チョコレートケーキのあと少しのかけらがまだ残ってるお皿がどこかにいってしまい
そのお皿を探していた
入口の階段で酔っぱらった小人の二人がどちらが真っ直ぐ階段を登れるか大会であそんでいたけれど
わたしが来たら絡み酒大会になった
お酒よりもわたしのアタマはチョコレートケーキだったので二人にも聞くが酔っ払い相手じゃ全く会話にならず
誰に聞いてもどこを探してもチョコレートケーキは見つからない
濃厚で甘くおいしいあぁ愛しのチョコレートケーキ…
すると、まーちゃんがテーブルからわたしの名前を何度も呼ぶ
ケーキ探しを止めて戻ると、まーちゃんと王様がにこにこして座っている
まーちゃんが
「みっちゃん あとこれだけ食べたらデザートにケーキが食べられるよ♡」
と言った ご飯を食べない子供に話すみたいにやさしかったし そういえば
まーちゃんはいつの間にかそこに座っていたけれど違和感なく当たり前だった
小人の王様は まーちゃんの言う通りとでも言わんばかりにゆっくりと何度もうなずいている
え?でも今わたしケーキ食べてたんだよ まだ残ってるはずなんだけど探してて
それにわたしまだまだ食べられるよ と話すも二人は聞いていない
そんなに食べてもいいなんてラッキーだし まぁいいか だけど
あの食べかけのチョコレートケーキ何処いっちゃったんだろうと思っているうちに
「あとこれだけ食べたら」のお皿がテーブルに並んだ
それは巨人の得意料理 色とりどりに美しい 盛り付けがちょっと変わっているなんとも美味しそうな握り寿司だった
お寿司ってなんて御馳走なんだろう しかも握り寿司なんていつ振りだろう
わたしはもくもくとおいしい握り寿司を頬張り 一生食べ続けていたいと思った
「このにんにくのお寿司おいしいね」 とまーちゃんが言ってハッとする
おいしいけど どれが何だったか分からない
もったいない 別に大食い選手権をやってるわけじゃないのに
わたし ちゃんと味わいもせずにがっついてしまったと申し訳なくなったのに
「ほんとおいしいねー」とか言って誤摩化してしまった
その事について何も言わないけれど小人の王様にはバレていた
それにも気づかない振りをして わたしはお寿司に意識を戻した
「あとこれだけ食べたら」が 握り寿司でこのあとケーキも食べられるなんて!
ずっと御馳走だしすごくたっぷりでなんて贅沢なんだうれしいなと思いながら
愛情込めて巨人が作ってくれた残りのお寿司をゆっくりとよく味わって食べていた
にこやかに 一人でキッチンとホールをこなす巨人は常に動いている
巨人だから大きいけどその動きはさらっと空気のようで店の雰囲気と客人の邪魔をしない
よく仕事のできる というか 素敵な仕事の仕方をする人だった
その巨人が下げてきたお皿の一つに わたしの食べかけのチョコレートケーキがあった
あ!あった!それまだ食べてるの!残したんじゃなくて探してたの!と巨人に言うけど
巨人には言葉が通じない 他のお皿と共にシンクへ流されてしまった
お寿司をまだ食べながら 流されていく食べかけのチョコレートケーキに思いを馳せるというなんとも欲張りなわたしはキッチンカウンターを見つめてしまっていた
そこに立つ巨人が目か超音波か念力みたいなもので話しかけて来た
このあとケーキを出すからそれを食べたらいいじゃない
あせりなさんな
*
って ゆめをみた
日記の題名なんだろなーと そしたら
『寿司ケーキ 』
子供の頃ゆりちゃんのおばちゃんが
超巨大でカラフルな押し寿司をよく作っていて
その名前が寿司ケーキだった
夢とは関係ないけど
あれすごかったな