ドラゴンとスヌーピー

ベッドでうとうとしていたら 空がなんだかさわがしくて

いきなりたくさんのちいさな生き物が壁を通り抜けて飛んできた

部屋をぐるっとした後また窓ガラスを通り抜けて飛んでいく

その生き物は列を成してすごいスピードで飛んでいた

1列になった鯵の群れみたい

すると一番最後の子が わたしの手のひらにまとわりついた

よくみたら 彼はドラゴンだった

ヤモリぐらいの大きさで 茶色くてごつごつしていて しっぽがながくて

ギザギザのはねがついている

あら あんたほらみんないっちゃうよ? ついてかないとはぐれちゃうよ?

ほら いそいでみんなのとこにいったら? だいじょぶ?

と声をかけるも 一向に聞かず わたしの手のひらではしゃいでいる

あらま どうしよう みんな行っちゃったよ だいじょぶかな と 心配していると

いきなり大きくなった と いうか ドラゴンから別の生き物になって床に着地した

メリーかと思ったけど 彼はどうやら犬だった

あれ チキ? と 一瞬思ったけど違った チキは前に働いていた浅草のカフェに

最初にいた犬で とてもかわいかったし女の子だった

よくみるとフサフサしていて白地に茶色やグレーの大きな柄があり けっこうずんぐりしている

と 緊張したのか おしっこポーズにはいったので

あーNO!外いこう!と咄嗟に声を上げた 彼はびっくりしちゃってすねてしまった

ごめんね びっくりさせて でもここ部屋だからおしっこはこまっちゃうの 外行こうね

と話しながら あたまやからだをなでると 彼の左目は白っぽいグレーで

おそらく見えていない 体のあちこちにかさぶたがあり やたらになでるといやがった

ごめんごめん そっか あなた老犬なのね だれに会いにきたの?とはなしながら

1階に下り 玄関から外へ出て 彼はおしっこをした

家は千葉のわたしは高校生途中まで住んでいた前の実家で 今は別の所に引っ越している

わたしは 顔写真付きの家系図のようなチラシを持っていて

ママと話しているうちに ある夫婦が彼を連れていたのを思い出した

この子(ドラゴン犬)この夫婦ん家の子だよねぇと聞くがママにはわからない

そもそもこのチラシはなんなんだろうと思っていたら 常連さんマップだと思い出し家に戻る

狭く短い廊下と3部屋だったはずの2階は広くなっていて 階段を上がった所が

小さなキッチンと居間になっていた

心地よく配置されたソファーやテーブルでなぜか 前に働いていた浅草のカフェの

お客さんとオーナーがくつろいでいた

楽屋みたいな雰囲気できもちがいい

みんなにチラシをみせて この夫婦どこにいるかしってる?と聞いてまわったけど

だれも知らなかった この夫婦きてたかしら 見た事ない ってみんな言う

やー来てたよ この子つれてさ と話すけど やっぱり誰も知らないみたい

みんなはビールやワインを呑みながらゆったりとニコニコと話している

オーナーはついに借りていたビルを丸ごと買っちゃったのよ どうしようと

笑顔でいっていた わーついに買ったんだね よかったね と 祝いのきもち

そんなこんなしている間に ドラゴン犬の彼はベッドの部屋にもどっていた

あなたの家族みつからないね ねよっか と 一緒にふとんにもぐった

常連さんがそっと電気を消してくれた

みんなやさしかった

気がつくとそこは水族館の円形野外プールステージで 陽が暮れてライトアップされている

イルカ か アシカショーの前座が今から始まる所だった

なんと 白いヤギが芸をするらしい

ドラゴン犬の彼はもういなかった

季節は夏になっていた 夏の涼しい夕暮れ

司会のお姉さんは一昔前のピカピカラメの衣装でただ笑顔で魔法のステッキを振っている

観客は興味がないらしくざわついて 子どもは綿飴片手にあそんでいる

最前列ど真ん中よりやや左側で 突っ立って待っていると

ポニーぐらいある大きなヤギが出てきた

でも なんかぬいぐるみっぽくて あれれ?と思いながらショーを見守る

遊園地のコインをいれたら音楽を鳴らしながら歩く

ハンドルがついた動物型の乗り物みたいにみえてきたその白いヤギは

客席にお尻をむけてピタリと止まった

しばらくすると パッカーンと宇宙船の出入り口みたいに体が開き

中には本物のヤギ らしき生き物が入っていて もぞもぞとそこから出てきた

やっぱりそれはぬいぐるみで ぬいぐるみをヤギらしき生き物が着ていたというのだ

何も言わないけどテレパシーみたいなものを発している

彼は俳優で 自分の意志でその役を演じているとのことだった

どうりで つま先まで意識のある美しい歩き方

すっげー!とびっくりして本当にヤギなのか確かめたくて側に寄り

あたまや鼻をなでまくる でも 似てるけどなんかちがう

んー ヤギ?んー?  ちょっとなんかちがう ふわふわしすぎてるし 鼻も耳も長すぎる

正面から見ると なんとスヌーピーだった

わあ あなたスヌーピーなのね こんにちわと 耳をびよんびよんなでる

観客はまだざわついていた 数名がスヌーピーと知り写真をとっている

スヌーピーはメリーじゃないけどちょっと似てるんだなと思いながら

ひたすらゆっくりなでていた スヌーピーは何も言わなかったけど やさしかった

やさしいきもちでゆめから覚めた朝5時

ドラゴンは魂なんだね あの列にメリーもいたかしらと考えていたら

そういえばドラゴン犬の彼 あのおしっこポーズはメリーみたいだったなと

あ もしかして メリーだったのにわたし犬の姿だから気がつかなかったのかも ごめん

とか わからないけど思うだけでやさしいきもちになり

コーヒーを淹れた

にっき

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